圧倒的な感動を創造する葬儀 ~ライフエンディングサポートに込める思い~

株式会社メモリアルむらもと 代表取締役 村本 隆雄 氏

圧倒的な感動を創造する葬儀
~ライフエンディングサポートに込める思い~

本日は、創業57年葬儀社のメモリアルむらもと、代表取締役の村本さんにお話を伺いました。

 

 

太田:まず始めに会社の沿革を伺えますか。

 

村本:昭和35年の7月12日に祖父が有限会社恵庭葬祭社として設立しました。もともとは呉服事業もおこなっておりましたが、昭和47年には葬儀屋一本となり、2010年に私が社長に就任しました。

 

太田:いまでは葬儀以外にもさまざまな事業をされていますよね。

 

 

村本:葬儀をはじめとして飲食事業、リハビリデイやサ高住などの介護事業、健康事業や運動教室などもおこなっております。メインはWith Houseという家族葬の業態ですね。フランチャイズの全国展開も考えておりまして、ちょうど先日東京ビッグサイトで展示もさせていただきました。

 

太田:With Houseはパンフレットなどを拝見しても、一般的な葬儀場とは見た目もまるで違いますね。

 

村本:はい。一般的な葬儀場は100名ほど収容するようなものが多いですが、With Houseは20~30名規模のものが多いです。通常の葬儀屋さんはメインホールをできるだけ大きくしてエントランスや控室を小さくする傾向があるのですが、うちはそうではありません。お客様がホールを使用するのは2日間のうち通夜1時間、告別式1時間のたった2時間程度です。お客様が求めているものはホールの大きさや、祭壇のスケールではありません。大切な人と最後に過ごす時間、みんなで共に故人を送り出す空間。お客様が求めているのはそういったところにあると思っています。だからうちは祭壇のスケールなどを押し付けるようなものはやめて、リビングルームやソファ、個室のベッドルームなど、お客様が皆さんでくつろげるスペースに力を入れた家族葬の業態を始めました。

 

 

太田:なるほどですね。With Houseを始めた頃のお話を伺えますか。

 

村本:With Houseは2008年に始めましてちょうど10年ほどになります。通常の葬儀屋は祭壇の豪華さでお金を得ているところがございますから、祭壇に頼らないWith Houseを始めようとしたときは、社内でも役員のなかで反対の声が出ました。1件あたりの売上が落ちてしまうのではないかという理由ですね。ただ私は祭壇が小さいからといって今までと同じ金額をいただけないかというとそうではないと思っていました。大切な人を送り出す2日間をきちんと提供できれば、納得していただけるはずだと。結果的にはそれが認められてグループ内でも主となるブランドになりました。今ではこの業態を真似して追随する葬儀屋も出てきています。

 

太田:With Houseを始めるきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

 

村本:もともと私は切り花の生花市場にいましたので、入社したころは生花部門でした。しかしその頃はまだ分業もすすんでおりませんでしたので、結果的には葬儀のことは一通りこなしていました。そのなかで葬儀は本当にこれでいいのかという疑問が出てきたのです。お葬式は人が亡くなるとご家族が突然忙しくなる。やらなければいけないことがたくさん出てくるからですね。亡くなった人そっちのけでその対応に追われていくのです。結果的に落ち着く時間がつくれるのは葬儀が終わったあとです。疲れ切った家族のなかで葬式を迎える。これで本当によいのかと思いました。昔から葬儀と火事だけは近所の人が手伝うものとされていましたが、時代の流れのなかでそれも薄れていっていて、明らかに葬儀というものがコンパクトなものになっていくことは目に見えていました。時代の流れもあり、思い切ってシンプルな業態にすることで、ご家族の負担を減らしたいと思ったのがきっかけです。家族葬は他のお葬式のご家族が会場にいることもないですし、完全にプライベートな空間でおこなうことができます。

 

 

太田:そのようなきっかけがあったのですね。With Houseが他の葬儀と最も違うところはどういったところにあるのでしょうか。

 

村本:通常の葬儀と比べて、お客様と亡くなられた方が触れ合う時間がとても長いのが特徴です。通常の葬儀では告別式があってお寺さんがお経を唱えたあと葬儀長の挨拶があったのち、「これより先は近親者の方のみでお別れをいたしますので…」という形ですが、With Houseは最後までお客様がいっしょにいれるようにしています。

 

太田:それはなぜでしょうか。

 

村本:一般の参加者の方に葬儀とは何なのかを感じてもらう時間にしていただくためです。「葬儀なんていらない」という声もよく聞かれる世の中になりましたが、そういった方ほど自分の大切な人が亡くなると実際はそうは思わないのです。そして結局慌てて忙しい葬儀になってしまいます。そうならないためにも知り合いのお別れのところに参加して、その葬儀を通じて自分の両親や家族が亡くなったときのことを考えて、向き合う時間にしていただきたいのです。With Houseはご家族が忙しい葬儀にならないように、忙しさを極力排除しています。一般の方にも葬儀とはどういうものなのかを知っていただいて感動を体験していただくためにも、お別れの空間づくりにはとても力を入れています。

 

太田:空間づくりではどういったところに力を入れられていますか。

 

村本:たとえばBGMもオプションではなく、すべての葬儀で生演奏です。在席ピアニストは40名ぐらいいますね。五感に訴えかけるような空間づくりをおこなっています。感動的な記憶に残る、琴線に触れるような空間づくりをするには、BGM一つ妥協したくないという思いからですね。お客様からそれなりの代金をいただいていますから、祭壇だけでなくそれに見合うような付加価値を提供しないといけないと思っています。

 

 

太田:会社の理念も「感動を創造する」ですね。

 

村本:はい。ものすごくシンプルです。葬儀屋は究極のサービス業だと私は思っています。人が亡くなったときの最後のお別れの空間はやり直しがききませんからね。究極の緊張感のなかで葬儀はおこなわれます。そこで満足のいくものを提供できると、お客様との距離がものすごく近くなるんですね。それが自分たちの喜びでありモチベーションです。常にどんなことでも人に感動を与える。感動は過去の事例ではなく自分たちで創り上げていく。そういった思い出とりくんでいます。

 

太田:すばらしいですね。最後に今後の展望についても伺えますか。

 

村本:うちは単なる葬儀屋でなく、ライフエンディングサポート企業であると自分たちを定義しました。人が生まれてから亡くなるまでさまざまなことがあるなかで、今までは葬式というイベントだけをおこなっていましたが、その手前の部分でお手伝いできるところはしていきたいと思っています。たとえばお寺さんとのアライアンスですね。今は昔と違ってお寺にいく機会も減っていますが、お寺をよりみんなが立ち寄れる場所にしたいと思っています。子供たちに勉強を教えられるような寺子屋だったり、居場所のないお年寄りが集まるお茶会だったり、子育てママ同士がつながるコミュニティの場だったり。普段お寺さんと付き合いのある私たちだからこそ、お寺をより地域に馴染みやすいものにできたらいいなと思っています。それ以外にも自分たちでできることは自分たちで、こういった思いに共感してくださる企業さんとは一緒につながって、人生をより豊かにできるようなサポートのプラットフォームをつくっていきたいと考えています。

 

太田:本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

村本:ありがとうございました。

 

【編集後記】

私の考えていた葬儀は、気が動転している中で、慌ただしく言われるがままに進んでいく・・・というイメージがありましたが、社長のお話を聞いて、お葬式の概念が変わりました。大切な方が亡くなった時に、最後の時間は一緒に過ごしたいものです。

時代の流れにのり、役員の反対を押し切り事業転換したことで、今注目される企業になっているのだと思いました。社長のお話を聞いていると、葬儀がリアルにイメージされ、私の親が亡くなったら、と置き換えて考えてしまい、涙が潤んでしまいました。

 

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